木造住宅において耐震性を高めるのは実はそれほど難しいことではありませんし費用もそれほど変わりません。ダンパーなどを入れる必要もありません。三つの要素を考えるだけです。(RC、鉄骨は別項目で)
 1 構造壁を増やす(筋交いや構造用合板の入ってる壁)
 2 壁量のバランスを考える
 3 ジョイント部の引き抜きを考慮する          これだけです。
ただし、開放的な間取りや南側に大きな開口部をつくるパッシブデザインの家で壁をバランス良く増やすには真面目に工夫する必要があります。1階、2階のX方向とY方向の壁の中心(剛心といいます)が家の重心となるべく一致するようにしなくてはいけません。これが離れると2ヶ所に地震力が働いてねじれるように揺れて被害をうけてしまいます。
壁には倍率があって5倍を限度として強度が設定できます(片筋交いは2倍、構造用合板2.5倍といった)
倍率が高いと壁の量を少なくすることができます。そうするとバランスを考えるとき便利です。
そんな時こういうビスを私は使います。
モックスビス.jpg
構造用合板は通常は釘で留めますが、このビスを使うと構造用合板だけで5倍の耐力にできます。片筋交いと通常の構造用合板の組み合わせでも4.5倍にはなりますが、現代の家の壁の中には配線・配管・冷媒管等々様々な設備が入る為に筋交いが邪魔になる事が多々あります。
合板だけですめば壁の中が自由に使えます。また、釘留めより施工ミスが少なく耐久性もあります。
いちばん大きいのは改修の際に新たに筋交いを入れる余裕ができることです。家の寿命を延ばすにはリフォームや修繕が欠かせません。いずれ間取りを変えたり傷んだ部分を補修する時に筋交いを入れる必要が出た時に空間の余裕があるのは重要です。

壁量.jpg

これは実際にモックスビスを使って建てた家の壁量です。内部の壁の一部には筋交いを入れていますが、ほとんど外周廻りのみでこれだけの壁量をバランス良く配置できました。等級3の倍近い量です。
壁が強くなると3の引き抜き力も大きくなりますがトップページにご紹介したドリフトピン工法を使うと簡単にそれをまかなうことができ施工ミスもありません。